足立区で大雨の浸水に備えるなら、まず区のハザードマップで自宅の場所の「内水氾濫」(下水や水路から水があふれる浸水)の想定を確かめ、そのうえで土のう・止水板の準備と、敷地の雨水ます・排水ますの掃除を進めるのがおすすめです。足立区は四方を川に囲まれた地域で、令和8年10月にはハザードマップの内水氾濫の図が分けて示されるようになり、止水板の設置工事への助成も一部の地域で拡充されました。
この記事では、足立区と東京都下水道局の案内をもとに、ハザードマップの見方、土のう・止水板の区の制度、家の排水ますで確かめておきたいこと、相談先を整理します(2026年10月時点の情報です)。
足立区はなぜ浸水に注意が必要?
足立区の紹介ページによると、足立区はその昔、海辺に接していた低湿地帯の一部でした。区は四方を川で囲まれ、南に隅田川、西に荒川・新芝川、北に毛長川、東に中川・綾瀬川・垳(がけ)川が流れています。
浸水には、大きな川があふれる「洪水」だけでなく、降った雨を下水道や水路が流しきれずにあふれる「内水氾濫」もあります。令和8年7月17日には、西新井・栗原地域を中心に局地的な大雨に見舞われました。区長のブログでは、西新井周辺はすり鉢の底のように凹んでいて雨水が周囲から集まりやすい地形であること、水位の上がる早さは想像以上で、近くに土のうステーションがあっても使う前に水が入ってきてしまった例があったことが紹介されています。大雨の予報が出たら、降り出す前に準備を済ませておくことが大切です。半地下の部屋や地下室がある住まいでは、浸水のおそれがあるときは半地下部などへ入らないよう、東京都下水道局が呼びかけています(後半で詳しく紹介します)。
足立区のハザードマップで何を確かめる?
足立区の洪水・内水・高潮ハザードマップは、令和8年10月発行の版で、「内水氾濫」と「中小河川(毛長川、伝右川、垳川)の氾濫」の最大浸水深を分けた形に更新されました。内水氾濫の図は、令和8年3月に東京都が指定した「雨水出水浸水想定区域」をもとに作られており、時間最大雨量153mm・24時間総雨量690mmの雨を想定しています。
自宅について、次の点を確かめておくと準備の優先順位がつけやすくなります。
- 内水氾濫の図:自宅の場所で、どのくらいの深さの浸水が想定されているか
- 川ごとの図:荒川・利根川・江戸川・中川・綾瀬川・芝川/新芝川・中小河川、高潮のそれぞれで、浸水の想定があるか
なお、区のページには、内水氾濫の浸水継続時間を示す図は公表されていないと書かれています。ページの名前は「令和4年4月改訂」のままですが、掲載されている地図は更新されているので、最新の版を見るようにしてください。
土のうはどこでもらえる?
足立区は、区内の個人住宅や共同住宅などに住む人を対象に、土のうを配布しています(マンションの上層階に住む人の利用は遠慮するよう案内されています)。
- 配布施設:神明南材料置場・諏訪木材料置場の2か所。台風の接近などで浸水のおそれがあるときに開設され、それ以外のときは事前の利用申込みが必要。配布時間は平日の午前9時30分から午後4時まで
- 土のうステーション:区内の各所にあり、約80袋の土のうを保管していて、いつでも利用できる。ただし台風の接近時などの緊急時は、土のうがなくなる場合がある
- 量:1利用者につき10袋まで。1袋あたり10キロから15キロ程度
- 返却:配布した土のうの返却は不要
1袋10キロ以上あるので、運ぶ手段と置き場所を先に考えておくと、いざというときに慌てずに済みます。ステーションの場所や使い方は区のページで確認できます。問い合わせ先は道路維持課道路工務係(03-3880-5008)です。
止水板を付けるときに使える区の助成は?
足立区には、建物の出入口などに止水板を設置する工事と、それと一体で行う関連工事の費用の一部を助成する制度があります。令和8年10月から、特定の地域に限り、助成率と限度額が拡充されました。
| 対象の地域 | 助成率 | 限度額 |
|---|---|---|
| 令和8年7月17日以降に浸水被害があった地域/区のハザードマップで内水氾濫の想定最大浸水深が0.5m以上の地域 | 10分の9 | 100万円 |
| 上記以外の地域 | 2分の1 | 50万円 |
助成率と限度額は、一つの住宅などの対象工事費(税抜)に対するものです。申し込む前に、次の点に注意してください。
- 工事を伴わないものは対象外:置き型の止水板を買うだけの場合などは対象になりません
- 着工は交付決定のあと:区の交付決定の前に工事に着手すると対象外になります
- 受付期間:令和8年4月1日(水曜日)から令和9年1月29日(金曜日)まで。令和9年2月26日(金曜日)までに工事を終えて完了届を出す必要があり、申請の状況によって早く締め切る場合があります
このほかにも、扉として併用する場合などの対象外になる条件や、必要書類が決められています。地面を掘って設けた地下室(半地下を含む)がある建物への設置も対象外ですが、令和5年3月以前に建築確認済証が交付された建物はこの条件から除かれています。検討するときは、区のページと交付要綱を確認し、都市建設部都市建設課事業推進係(03-3880-5478)に問い合わせてください。
家の雨水ます・排水ますで確かめておきたいこと
東京都下水道局は、雨水は「雨水ます」から下水道管に流れ込むため、雨水ますや側溝にごみがたまったり物が置かれていたりすると、雨水が下水道管に流れ込まず、浸水の危険性が高くなると呼びかけています。また、排水設備には便所・台所などの屋内設備と、雨どいなどの屋外施設があり、各家庭で管理することになると案内しています。
大雨の季節の前や、台風の予報が出たときには、次の点を見ておきましょう。
- 敷地の雨水ますや、家の前の側溝の上に、植木鉢や自転車などの物が置かれていないか
- 雨水ますのふたを開け、落ち葉や泥が厚くたまっていないか(ふたが重い・割れているときは無理に開けない)
- 雨どいの出口が詰まっていないか(地面から手の届く範囲で。高い所は無理をしない)
- トイレや台所の排水ますに水がたまったまま引かない、ということがないか
点検は雨がやんで水が引いてから行い、大雨の最中に外へ出て作業するのは避けてください。排水ますの役割や掃除のしかたは排水マスとは?戸建て住宅オーナーが知っておくべき役割とつまり対策で詳しく紹介しています。賃貸住宅は大家さんや管理会社、マンションの共用部分は管理組合や管理会社に相談してください。
大雨のとき、トイレや風呂から下水があふれることはある?
東京都下水道局は、豪雨のときに下水道管の中の水位が上がると、道路面より低い場所にトイレや風呂場などがある場合、下水が逆流する場合があると説明しています。半地下の部屋や地下室がある住まいでは、特に注意が必要です。下水道局は、浸水のおそれがあるときは半地下部などへ入らないよう呼びかけており、流れ込んだ水の圧力でドアが開きにくくなり危険だとしています。逆流への備え方は江東区の大雨で排水が逆流する?低地の住まいの備えと排水ますの点検でも紹介しています。
足立区で道路の下水があふれたときの相談先
道路の下の下水道管やマンホールのことは、東京都下水道局の下水道事務所が受け持っています。足立区は東部第二下水道事務所の担当です。
- マンホールから水があふれている・下水の流れが悪い:東京都下水道局 足立出張所/電話 03-3855-7411
- 浸水など下水道に関する相談:東京都下水道局 東部第二下水道事務所(足立区・葛飾区・江戸川区):葛飾区小菅1-2-1/電話 03-5680-1268
- 土のうについて:足立区 道路維持課道路工務係/電話 03-3880-5008
- 止水板設置工事の助成について:足立区 都市建設部都市建設課事業推進係/電話 03-3880-5478
自分でできること・業者に相談したいサイン
自分でできること
- 区のハザードマップ(令和8年10月版)で、自宅の内水氾濫の想定を確かめる
- 土のうの受け取り方と、近くの土のうステーションの場所を調べておく
- 雨水ます・側溝の上に物を置かず、たまった落ち葉や泥を取る
- 止水板を付けるなら、工事の前に区の助成の条件と申請の順番を確かめる
業者に相談したいサイン
- 雨の日に、敷地の中のますから水があふれる(道路のマンホールもあふれているときは、下水道管側の水位が上がっていることがあるので下水道局へ)
- 晴れていても、排水ますに水がたまったまま引かない
- 大雨のあと、トイレや台所の排水の流れが遅い、ゴボゴボと音がする
Beプラミングでは、排水の流れが悪いとき、室内の排水から屋外の排水ますまで、どこで詰まっているかを確かめて原因を取り除きます。排水ますや排水管も状態を確かめ、掃除から修理までご相談いただけます。詳しくはつまり修理のページもご覧ください。
よくある質問
置くだけの止水板を買っても、足立区の助成は受けられますか?
足立区の止水板設置工事助成では、工事を伴わない場合(置き型止水板を購入するだけなど)は対象外とされています。
土のうは返さないといけませんか?
足立区のページでは、配布した土のうの返却は不要とされています。1利用者につき10袋までです。
足立区に雨水浸透ますの助成はありますか?
東京都下水道局のページでは、雨水浸透施設の設置費用の助成制度がある区として9区が挙げられていますが(2025年4月現在)、その中に足立区は入っていません。最新の状況は足立区に確認してください。
まとめ
- 足立区は四方を川に囲まれ、かつては低湿地帯だった土地。川の氾濫だけでなく、短時間の大雨による内水氾濫にも備える
- ハザードマップは令和8年10月版で、内水氾濫の図が分けて示されるようになった
- 土のうは区内各所の土のうステーションのほか、2か所の配布施設で受け取れる(1利用者10袋まで)
- 止水板の設置工事の助成は、一部の地域で10分の9・上限100万円に拡充。置くだけの止水板は対象外で、着工は交付決定のあと
- 雨水ます・側溝に物を置かず、落ち葉や泥を取っておく
足立区など東京23区で、排水の流れの悪さや水漏れが気になるときは、東京23区の水道修理のページもあわせてご覧ください。
出典:足立区「区の地勢・面積」「足立区洪水・内水・高潮ハザードマップ(令和4年4月改訂)」「土のうを活用し浸水被害に備えましょう」「止水板設置工事助成のご案内」「浸水への備えを」(区長のあだちな毎日)、東京都下水道局「浸水への備えを万全に!」「排水設備について知りたい」「23区内の下水道の維持管理、建設に関すること」(いずれも2026年10月26日確認)。本記事では、これらの内容を要約・編集して紹介しています。
