台所も浴室も洗面所も、どこか一か所ではなく家じゅうの排水がそろって流れにくい。そういうとき、原因は家の中ではなく、屋外のマスやその先の管にあることがあります。敷地を出た先が市の道路なら公共下水道ですが、もし家の前が私道なら、その下の管は道に面した家々が共同で持っているものかもしれません。持ち主が自分ひとりではない管が詰まったとき、何から手をつければよいのか。川崎市宮前区の神木・土橋・けやき平のあたりを念頭に、順を追って見ていきます。
宮前第二地区にまとめられた神木・土橋・けやき平
川崎市宮前区は、区内を7地区(地域ケア圏域)に分けて「地区カルテ」を作成しています。そのうちけやき平・神木・土橋の3つの町が、まとめて宮前第二地区として扱われています。人口などの統計データや社会資源の情報も、この単位でまとめられています。
読み方は、川崎市の区別町名一覧表によると、けやき平が「けやきだいら」、神木が「しぼく」、土橋が「つちはし」です。丁目の有無も町ごとに違い、土橋は1〜7丁目、神木は1・2丁目、けやき平は丁目のない町です。同じ一覧表では、けやき平が昭和60年11月5日に住居表示を実施した地区とされているのに対し、神木と土橋には住居表示実施の記載がありません。住所の表し方の制度でさえ、隣り合う町で揃っていない一帯だということです。
私道の下を通る排水管は、面した家の共同の持ち物
下水道は、道路の下の公共下水道と、敷地の中の排水設備に分かれます。川崎市上下水道局は排水設備について、「下水を公共下水道に流入させるための排水管等のことで、土地・建物等の所有者または占有者が設置し維持するもの」と説明しています。修理も交換も、持ち主の側で手配するものだということです。
やっかいなのは、私道の下の管です。公道に出るまでの間に私道をはさむ場合、そこに何軒かで1本の管を通し、各家の取付管をつないでいることがあります。これを私道共同排水設備と呼びます。市は修繕助成制度の案内で「私道共同排水設備は、皆様が維持管理を行うものです」と明記しています。家の外にあっても市の管ではなく、使っている家々の共有物という位置づけです。
自宅前の道が私道かどうかは、記憶ではなく書面で確かめられます。市の助成制度でも、提出書類として私道部分の公図の写しと、私道および私道に接する建築物の登記事項証明書の写しが求められています。まず公図と登記事項証明書を取り寄せてみると確かめやすくなります。
詰まったとき、どこまでが自分の家の話か
切り分けは、水の流れる順に見ていきます。器具(便器・シンク・浴室)、屋内の配管、屋外の排水マス、そして敷地の外という順です。屋外のマスまで来て初めて、家の外の話になります。マスの役割と点検のしかたは排水マスとは?戸建て住宅オーナーが知っておくべき役割とつまり対策にまとめました。
手がかりになるのは、症状が1か所か、家じゅうかという違いです。台所だけなら台所の先で止まっている見当がつきますが、複数の水まわりが同時に遅くなり、排水口から空気の戻る音がするなら、もっと下流でつかえている可能性が出てきます。音の読み方はキッチンの排水がゴボゴボ鳴る|正常な音と点検が必要な音の見分け方で扱っています。
私道を共有しているお宅とも症状が重なるようなら、共同部分を疑う段階です。ここから先は自分の家だけの判断で進められないので、先に近隣へ声をかけてから業者を手配するほうが、後の話し合いが早く済みます。集合住宅にお住まいの場合の切り分けはマンションの水漏れは誰が直す?|共用部と専有部の境目と費用負担をご覧ください。雨水と汚水がどう分かれているかは下水道が合流式か分流式かを調べる方法|川崎市・横浜市・東京23区で確認できます。
川崎市には私道の管を助ける制度がある
まず私道内公共下水道整備制度です。市の案内では、一定の基準・条件を満たす私道について、水洗化の普及促進を図るため、申請により市が公共下水道として整備する制度とされています。対象は私道のつながり方で分かれ、公道と公道を接続する私道は幅員2.7メートル以上で家屋2棟以上、公道と公共施設を接続する私道は幅員4メートル以上で家屋2棟以上、一端だけが公道に接続する私道は幅員4メートル以上かつ延長25メートル以上で家屋5棟以上、と示されています。整備された下水道は市有財産となり、市が維持管理を行います。
すでに私道に共同排水設備があり、それを直すときは私道共同排水設備修繕助成制度です。要件として、私道の幅員が1メートル以上で一端が公道に接続していること、汚水を排除する建築物が2戸以上あること、敷設後10年を経過していること(敷設時期が不明な場合は処理区域となってから11年)、利害関係人全員の承諾があること、工事費が5万円以上であることが挙げられています。助成の額は3社から取った見積りのうち、いちばん安いものの70%に相当する額(1,000円未満は切り捨て)とされています。
なお、くみ取り便所や浄化槽をやめて、これから私道に共同排水設備を通して水洗化する場合には、別に私道共同排水設備敷設助成制度が用意されています。こちらは処理区域として公示されてから3年以内であることなどが要件で、助成の額は市の基準で算定した工事費と実際にかかった経費のうち低いほうの80%(申請期間を延長した場合は50%)とされています。すでに水洗化されている家の修繕とは別の制度なので、自分の家がどちらの話なのかを先に確かめてください。
進め方は、代表者を決め、指定工事店を選んで原因や修繕方法の提案を受け、代表者・指定工事店・市職員の立会いで工事箇所を確認してから申請、という順序が示されています。窓口は上下水道局下水道部下水道管理課または管轄の下水道事務所です。先に工事を済ませてしまうと立会いの段取りに乗らないので、つまりが落ち着いた段階で早めに問い合わせておくと進めやすくなります。
つまりが起きたときに当社でできること
当社では、室内の排水から屋外の排水ますまで、どこで詰まっているかを確かめて原因を取り除きます。排水ますや排水管も状態を確かめ、掃除から修理までご相談いただけます。私道の共同部分にかかわる場合は、上の助成制度の手順もあるので、手を入れる前に上下水道局へ相談しておくと進めやすくなります。宮前区の別のエリアの住宅事情は、川崎市宮前区の水まわりトラブル|有馬・馬絹・野川の丘陵と低地の対処法と川崎市宮前区の水まわりトラブル|菅生・初山・犬蔵の住宅事情と対処法でも触れています。水があふれそうなときの止め方は水漏れしたらまず水を止める|止水栓・元栓の場所と閉め方の手順にあります。
出典:川崎市宮前区「宮前区地区カルテ」(地区別の町名の区分)/川崎市「区別町名一覧表(宮前区)」(読み方・丁目・住居表示実施状況)/川崎市上下水道局「排水設備に関する業務」(排水設備の定義)/同「私道内公共下水道整備制度について」(対象となる私道・施設の維持管理)/同「私道共同排水設備修繕助成制度」(助成の要件・額・手順・維持管理)/同「私道共同排水設備敷設助成制度」(敷設時の要件・助成の額)。本記事では、これらの内容を要約・編集して紹介しています。
