「雨が強い日に限って、トイレやお風呂の排水口から下水のようなニオイが上がってくる」「雨が止んだあとにキッチンが急にニオうようになった」——梅雨時期や台風シーズンに起こりやすい症状です。住宅の不具合だけでなく、雨と排水管・下水道の構造が関係していることもあります。本記事では、雨の日に下水のニオイが強くなる仕組みと、ご家庭でできる対処法を解説します。
排水口の「封水」が下水のニオイを防いでいる
キッチン・お風呂・洗面台・トイレの排水口には、「封水(ふうすい)」と呼ばれる少量の水が常に溜まる構造になっています。これは「排水トラップ」の中に水が溜まっていることで、下水管からの悪臭・害虫・ガスが室内側に上がってくるのを物理的に塞いでいる仕組みです。
排水トラップの代表的な形状には、洗面台などで使われるS型・P型、キッチン・浴室で使われる椀型などがあります。形は違いますが、いずれも「水で蓋をする」役割は共通しています。
雨の日にニオイが強くなる仕組み
雨の日に下水のニオイが強くなる原因のひとつと考えられているのが、「封水切れ(ふうすいぎれ)」です。大雨のときは下水管に雨水が大量に流れ込み、管内の水位が上がることが自治体の案内でも説明されています。管内の水や空気の流れが大きく変わると、各家庭の排水トラップにあった封水が引っ張られて減ってしまうことがあります。
封水が減る・なくなると、下水管と室内が直接つながった状態になり、これまで蓋をしていた下水のニオイ・湿気・ガスが排水口から上がってきます。これが雨の日に下水臭がする原因のひとつです。
すぐにできる対処法|封水を足す
雨の日や雨上がりに下水のニオイがしてきたら、まずは各排水口に水を流して封水を補充してみてください。
・キッチンシンク:水を10〜20秒程度流す
・洗面台:水を10秒程度流す
・浴室:シャワーで床と排水口を流す
・トイレ:レバーを引いて1回流す
・ベランダ・洗濯機の排水口:コップ1杯程度の水を流し込む
これでトラップ内に水が戻り、ニオイが収まることがあります。長期不在で家を空けていたあとに同じ現象が起きるのも、封水の蒸発が原因です(こちらは長期不在の前にやっておきたい水まわりチェックの記事もあわせてご覧ください)。
封水を足してもニオイが取れないときの原因
封水を補充してもニオイが続く場合は、別の原因を疑う必要があります。
① 排水トラップ自体の汚れ:椀型トラップの内側にヘドロ・髪の毛・油汚れが蓄積し、トラップそのものがニオイの発生源になっている。
② 排水管内部の汚れ:長年蓄積した油・石鹸カス・髪の毛などが配管内で腐敗し、ニオイを発生させている。
③ 排水管の破損・劣化:床下や壁の中で配管が劣化・破損し、トラップより下水側の管の破損部から、ニオイが床下や壁内に漏れている。
④ 通気管(ベント管)の不具合:マンションや戸建ての通気管が詰まっていると、雨の日に気圧変動を逃せず封水が引っ張られやすくなる。
⑤ 下水道本管側のトラブル:地域全体の下水道で起きている問題。マンション全体・近隣で同様の症状が出ている場合は管理会社・自治体への相談が必要。
マンション・戸建てで違う注意点
マンションの場合:上下の階の排水管が共用部でつながっているため、上階での大量排水・通気管のつまりが原因で下階の封水が引っ張られることもあります。お一人で解決しようとせず、管理組合・管理会社に同様の症状が他の住戸でも出ていないか確認するのが効率的です。
戸建ての場合:屋外の排水マスや、敷地内の通気管に汚れ・木の根の侵入などがあると、雨の日に気圧変動を吸収できず、封水切れが起きやすくなります。屋外の排水マスの状態確認が有効です。
梅雨・台風シーズンの予防策
雨の日に下水臭が出るご家庭で、毎年同じ時期に悩まれている方は、シーズン前のメンテナンスを検討する価値があります。
・排水トラップを取り外して内部を清掃する(月1回目安)
・排水管の高圧洗浄を定期実施する(数年に1回)
・屋外の排水マスを点検し、汚れを取り除く
・通気管の閉塞がないか確認する(屋根の上など高い所にある場合は、無理に上らず専門業者に相談する)
排水管・排水マスのトラブルが疑われる場合は、専門業者の調査が有効です。配管内部の状態は外からは見えにくいため、症状が続く場合は早めにご相談ください。
出典:長崎市「下水道の臭いを防ぐ(トラップ)」/広島市「大雨の時の排水抑制のお願い」。本記事では、これらの内容を要約・編集して紹介しています。
