ポストに「断水のお知らせ」が入っていた。あるいは朝、蛇口をひねったら水が出ない。断水そのものは、待っていれば終わります。困りごとが出てくるのは、その先です。濁った水をそのまま洗濯機に入れてしまった、蛇口の出が戻らない、給湯器にエラーが出た。水が戻ってからの数十分をどう動くかで、あとに残る面倒がずいぶん変わります。お知らせが来た日から、水を使い始めるまでを順番に並べます。
断水には「予告があるもの」と「突然のもの」がある
まず、いま起きている断水がどちらなのかで動き方が変わります。
予告があるほうは、水道管の取り替え工事や施設の維持管理作業に伴うものです。川崎市上下水道局は、老朽化した水道管を取り替える布設替工事について「断水が生じる対象の地域には、事前に日時等を記載した『断水のお知らせ』を配布いたします。」と案内しています。同じページには、これらの工事に伴う断水のほかに、水道施設の維持管理作業のための断水や濁水等が発生することがあり、こちらも対象の地域には事前にお知らせを配布する、とされています。布設替工事以外にも、予告のうえで断水や濁り水を伴う作業が行われることがあるということです。横浜市も、断水・減水・濁り水を伴う水道工事のときは影響のある地域へ事前にチラシを配布していて、緊急工事の場合は広報車などで知らせることがあると説明しています。
突然のほうは、突発的な事故です。東京都水道局は23区の断水・濁水情報のページを設けていますし、横浜市も断水情報を出しています。心当たりのない断水に出くわしたら、まずお住まいの水道事業者の断水情報を見るのが早道です。予告があった断水なら日時が分かるので、始まる前に汲み置きなどの準備ができます。突然の断水は、いつ戻るかが読めないぶん、戻ったあとの手順のほうが大事になります。
水が出ない=断水とは限らない|先に確かめる2つ
近所も一緒に出ていないなら断水ですが、自分の家だけ出ていないときは、話が別のことがあります。
ひとつめは、水道メーターのバルブです。東京都水道局の「水が出ない」のページは、対処方法の冒頭に「※まずはメータのバルブが開いているかを確認してください。」と置いています。工事や点検のあとに閉まったままになっていることがあるので、断水を疑う前にここを見てください。同ページは、直結給水方式でバルブが開いているのに水が出ない場合は水道局のお客さまセンターへ、貯水槽水道方式で開いている場合はポンプ故障が考えられるので管理人等へ、と連絡先を分けています。メーターまわりの場所と開け閉めは止水栓・元栓の場所と閉め方をまとめた記事で説明しています。
ふたつめは、建物側の設備です。横浜市は「マンションなどの共同住宅で受水槽や高置水槽が設置されている場合、停電や水道装置の故障などの理由で断水となっていることがありますので、建物の所有者・管理者・管理会社にご連絡ください。」と案内しています。建物の中で水が止まっているなら、連絡先は水道局ではなく管理側です。貯水槽のある建物で何を確かめるかは貯水槽のある建物で確かめることをまとめた記事で解説しています。
断水のあいだにやっておくこと|蛇口を閉め、浴槽の水は別に考える
断水中にやることは、実はほとんどありません。ひとつだけ大事なのが蛇口を開けっぱなしにしないことです。ノーリツは緊急時・災害時のページで、断水の場合として「断水時はすべての水栓を閉めておいてください。」と案内しています。出ないからと開けたまま放っておくと、水が戻った瞬間に勢いよく出てしまいます。
お風呂まわりにも注意点があります。同社は同じページで、浴槽に水がある状態で追いだきをすると故障(エラー)表示が出ることがある、としています。断水に備えて浴槽に水を張っておくのはよくある備えですが、その水は「ためておく水」であって、追いだきに使う水ではないと切り分けておいてください。エラー表示が出たときの見方は給湯器のエラーコードが出たときの記事にまとめています。
なお、地震などの災害で長引く断水のときは、自治体が水を配る場所を用意しています。川崎市は「応急給水拠点とは、地震などの災害時に、水を配る施設のことです。」として区ごとの一覧と検索の仕組みを公開しています。工事による数時間の断水とは別の話なので、そちらはお住まいの自治体の案内をご覧ください。
水が戻るとき|元栓の開け方と、最初に流す蛇口
ここが分かれ目です。復旧の連絡が来たからといって、いきなり台所で水を出すと、管の中にたまった空気と、動いた砂や鉄さびを器具の中へ呼び込むことになります。TOTOは「断水から初めて水を流すときの注意点」のページで、水道管に入り込んだ空気や砂などの異物によって蛇口やトイレなどの器具が不具合を起こすおそれがある、と説明しています。
断水中に元栓を閉められていた場合、同ページが最初に挙げているのは元栓を開ける前に家じゅうの蛇口を閉じることです。「(1)元栓開栓前に、台所や浴室などすべての水栓(蛇口)を『閉』にしてください。」という書き方で、そのうえで元栓をゆっくり開け、水道メーターが動かないことを確認する、と続きます。開けた勢いで水が噴き出すのを防ぐと同時に、この時点で家の中に漏れがないかを見ておく、という段取りです。
次に、たまった空気と異物を捨てます。同ページは、屋外の単水栓などから水が透明になるまでしばらく出すこと、屋外に単水栓がない場合は宅内の単水栓や2ハンドル水栓から出すことを案内しています。いちばん構造が単純な蛇口から出す、と覚えると分かりやすいはずです。庭の散水栓のように、フィルターや切り替え機構を持たないところから流せば、異物が器具の中に入りにくくなります。当社の水が白く濁る・赤茶色いときの原因と確認手順の記事では「風呂場などで少し流してから」と書いていますが、屋外に単水栓があるお住まいなら、そちらを先に使うほうが器具にはやさしい選び方です。出てきた水の色をどう判断するかも、その記事にまとめてあります。
お湯とフィルターを持つ器具は、水が澄んでから
水側が透明になっても、お湯側はまだです。給湯器の中にも、同じ水がこれから入っていきます。
ノーリツは緊急時・災害時のページで、断水の復旧直後の水は使わないよう呼びかけたうえで「復旧後は水道管にサビなどの異物が混入している可能性があります。」としています。水が透明になるまで流してから使う、という案内です。お湯側も、蛇口をお湯側に回して透明になるのを確かめてから使い始めてください。
製氷機能付きの冷蔵庫や浄水器のように、内部にフィルターや細い管を持つものも同じ考え方です。透明な水に戻ってから使い始めるほうが安心できます。断水後にどう扱うかは機種ごとに案内が違うので、取扱説明書の該当箇所を確認してください。給水まわりから水が出てきたときの見方は冷蔵庫・自動製氷機からの水漏れの記事にまとめています。
様子がおかしいときの見どころ|出が悪い・止まらない・メーターが回る
透明になってから使い始めても、蛇口の出が悪い、トイレのタンクに水がたまらない、ということが起きます。異物がフィルターに引っかかっているだけのこともあります。
TOTOは、水の勢いが弱い場合や水が出ない場合は各製品のストレーナ(フィルター)を清掃するよう案内しています。ストレーナは蛇口やタンクの入口にある小さな網で、砂やさびを受け止める部品です。ここで守ってほしいのが、同ページの「ストレーナの清掃作業を行なう場合は必ず元栓を閉めてから作業をお願いします。」という一文です。開けたまま外すと水が噴き出します。清掃のやり方は製品ごとに違うため、お手元の取扱説明書か、メーカーのサイトの該当ページで確認してください。水が止まらないときについては、同ページは何度かハンドルを操作してみるよう案内しています。異物がかんでいるだけなら、それで収まることがあります。
勢いが戻らない状態が続くようなら、フィルター以外の理由も考えられます。気になるときは、点検をご相談ください。
もうひとつ、見落とせないのが元栓を開けたときのメーターです。TOTOのページは、すべての蛇口が閉の状態でも水道メーターが動く場合は、水栓か宅内配管が破損している可能性があるとしています。漏れている蛇口が見つかればその止水栓を閉めれば済みますが、見当たらない場合は宅内配管の破損が考えられるとして、元栓を閉めたうえで水道工事店へ確認するよう案内しています。床下や壁の中の話になるので、ここから先は自分で追わないほうが早い領域です。メーターを使って、どこから漏れているかを絞り込む方法はパイロットで漏水を切り分ける記事が近い内容です。
出典:川崎市上下水道局「水道工事及びそれに伴う断水にご協力をお願いします」/同「調べておこう、応急給水拠点」/横浜市「事故・断水」(よくあるご質問Q&A)/東京都水道局「水が出ない」(水道のトラブル)/同「断水・濁水情報(23区)」/TOTO「断水から初めて水を流すときの注意点」/ノーリツ「緊急時・災害時」。本記事では、これらの内容を要約・編集して紹介しています。
